沖縄古典三線曲の中でも、
御前風と呼ばれる、
最もメジャーな5曲をご紹介します。
1.かぎやで風(かじゃでふう)
【歌詞】
今日のほこらしや なをにぎやなたてる
(今日の嬉しさを、何に例えられるだろうか)
つぼでをる花の 露きやたこと
(まるで、花のつぼみが、露を受けたようである)
5曲のうちでも、いちばんメジャーで、
いちばん格が高いとされている曲です。
沖縄本島の結婚披露宴では
新郎側の親戚の若い女性がこの曲を舞って、
宴の始まりを座に告げます。
「ほこらしや」は「フクラシャ」と発音します。
「誇らしさ/嬉しさ」という意味。
「花の蕾が露を受けて輝いているように、
今日はとにかくうれしい、めでたい!」という
内容の琉歌ですよ。
この琉歌が「かぎやで風」と呼ばれるようになった
由来については、次のような話が伝わっています。
第二尚氏王朝の尚円王は即位する前、
沖縄本島の北部で、
地元の民から危害を加えられそうになり、
ある鍛冶屋に助けられました。
尚円王を山の中に匿い、
こっそりと食べ物を運んで与えた鍛冶屋は
王の即位後、そのときの功によって出世。
功が報われることや幸運にあやかる意味で、
この琉歌を「鍛冶屋手(かじゃで)風」と
呼ぶようになった、と言われています。
格調の高い、荘厳な曲です。
これをやたらと早く弾くのは、
民謡弾きのうちの父親。
なにもかも台無しになるので、
(そもそも、早いと舞いにくいよ)
唄いながら自分が眠くなるくらい、
ゆっくりと弾くのがよいです。
というか、ゆっくりが正しい。
2.恩納節(うんなぶし)
【歌詞】
恩納松下に 禁止の牌の立ちゆす
(松の下に、村から出てはいけないと札が立ったが)
恋忍ぶまでの 禁止やないさめ
(恋しい気持ちまでは、止めることはできない)
女性歌人、恩納なべ(ナビィ)の作。
ナビィは、農民でありながら、琉歌を詠む才女だったそうです。
庶民の素朴な気持ちを歌った琉歌を
数多く残しています。
琉球王国時代、農民はそれぞれの村(間切)から
勝手に移動することを禁じられていました。
別の村の若者に恋した娘が、
恩納の松の木の下の「移動禁止」の札を
前に、それでも彼への気持ちまでは
誰にも止められない、止める権利なんかない!と
立ちつくしている、そんな情景ですね。
可憐な若い女性がこれを舞うと、
がんばれ負けるな未来は明るい!と
唄いながら心から応援したくなる^^
優美な中にも、芯の強さを感じさせるような
曲調ですよ。
3.長伊平屋節(ながいへやぶし)
【歌詞】
とれの伊平屋岳や うきあがてど見ゆる
(凪いでいるときの伊平屋岳は、海から浮き上がって見える)
遊でうきやがる 我玉黄金
(同様に、遊ぶ子供たちの中で、我が子が浮き上がって見える)
古い沖縄の言葉で、子供ことを玉黄金(たまぐがに)と呼びます。
子どもは玉であり、黄金である。
なによりも尊い、大事な宝という意味ですね。
空が青く澄み、青い海が凪いでいるとき、
対岸から眺める伊平屋岳はまるで、
浮き上がって空に浮かんでいるように見える。
同じように、他の子たちと遊んでいても、
親の目には我が子だけが浮き上がって見える。
我が子は特別!うちの子がいちばん!という
親心が率直に歌い込まれています。
これは、動画が見つからなかった・・・。
理由はなんとなく、わかる。
長すぎるからです、たぶん。
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